イノシシは3倍、ニホンジカは7倍に!拡大する鳥獣被害に対策は…
野生鳥獣の被害が拡大している。被害額、年間199億円にもなる。特にイノシシ、鹿の被害が大きい。北海道のエゾシカは56万頭、10年前の2倍にもなる。イノシシは88万頭、20年前の3倍増である。ニホンジカは261万頭、20年前の7倍にもなる。どうして、このように繁殖してしまったのか。理由は単純である。人間が栽培している作物である。それがエサになる。人間のために作っているつもりが、シカやイノシシの食料になってしまっているのである。農水省も、この問題には頭を抱えている。どうすればいいのか…。
野生動物が劇的に減った時期がある。太平洋戦争期である。ほとんどいなくなったと言ってもいい状況になった。それはなぜなのか。人間の食料になったのである。毛皮も貴重品だった。防寒具にもなったのである。時代は変わった。肉と言えば家畜しか食べない時代になった。野生の肉が食べられるなんて考えられないのである。野生のイノシシや鹿の肉はおいしくないのだろうか。実は家畜より、もっとおいしい。イノシシは主に山のドングリを食べている。ドングリを食べて育つと言えば、スペインのイベリコ豚である。世界の最高級の食材である。それと同等の味なのである。鹿肉もおいしい。ヨーロッパではトナカイやヘラジカは普通に食されている。牛肉よりもおいしいかもしれない。
そこで行政は考えたのである。イノシシや鹿を食料にすれば害は防げる。昔みたいに食べてもらえればいいというわけである。
しかし問題が二つある。ハンター不足。それから加工処理。環境省がハンターの育成をしても人が集まらない。加工処理が悪ければ、せっかくの高級食材もおいしくなくなる。臭いがきつくなったり、アンモニア臭が出たりする。ト殺後は迅速な処理が大切なのである。野生動物料理はフランスで「ジビエ料理」と呼ばれている。ヨーロッパでは、現在もなじみの深い料理である。野生動物が流通する仕組みができているのである。日本ではその習慣が消えてしまった。しかし、数は少ないが東京にはある。百獣屋(ももんじゃ)、罠(わな)などの店がある。ヘルシーでおいしいとの評判である。
鳥獣害で悩む市町村は1400にもなる。全体の80%。ほとんどの市町村は困っているということになる。考えようによっては、町おこしのきっかけになれるかもしれないのである。
野生動物の被害はすさまじく、年間50万頭を捕らないと減らないというのである。鳥獣保護管理法を改正して、なんとか害を減らしたいのである。そのために企業の参入も視野に入れ始めたのである。
年間50万頭も食料になるとしたら、輸入の肉は大幅に減らすことができるのかもしれない。思わぬ所に食料資源が眠っていたということになる。忘れられていた財産でもある。自然のサイクルというのは恐るべしですね。
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