「糖度」を上げる基本的な仕組みとは何なの…?
糖度を上げるにはどうすればいいのか。果樹の季節になったので興味があるだろうと思う。トマトを例にとると分かりやすい。よく水切りということをやる。強制的に水を与えなくするのである。そうすると、根は水を求め張り出す。根の張りが良くなる。わずかな水分で生命をつなぐことをする。生命をつなぐには糖分が必要である。そこでトマトは水分を糖に変える。だから糖度が上がるのである。確かに糖度を上げる方法ではある。しかし玉伸びはしない。玉張りも良くない。成長も悪い。収量は出ないわけである。
一方、地上部の葉の方はどうなっているのだろうか。水切りを勘違いして根に水を与えないだけでなく、葉も水切りをしてしまうのである。
葉は枯れたような状態になる。水分がないために皮は硬くなる。酸味がとても強くなる。例えば、肥料をまったくやらない野生に近いみかんは、酸味が強くなる。これと同じ現象である。糖度も若干上昇するが、酸味も強くなるのだ。皮が硬く果肉も硬く、酸味が強いとしたら、おいしいと言えるだろうか。実は「マズイ!」とてもマズイ!これは水切りを間違っているのである。根の水分を少なくする。これは必要である。少なくするわけだから、切るわけではない。少量は与える。
地上部の葉は、水切りをしてはいけない。逆である。水を与えなくてはいけない。糖度は葉で作られるのである。根から栄養を摂るのではなく、葉から栄養を摂るようにするのである。
葉は光合成をする。水分とCO2で澱粉(炭水化物)を作り出す。これが糖に変化する。それで糖度が上昇するのである。
果樹であれば、完熟期が近づくほど玄米アミノ酸酵素液で葉に葉面散布をしてやる。500倍希釈ぐらいがいい。時間は午前10時くらいまでにする。これはいつもの通りである。玉伸びもする。玉張りも良くなる。大玉になる。ジューシーになる。糖度も上がる。収量も出るということになる。糖度は葉で作られることを忘れないでほしいのである。
そこで根にまで水分を与えすぎてしまうとどうなるか。水分過多になる。果肉がやわらかくなってしまうのである。だからトマトの根に対する水切りは、まったく間違っているとは言えない。もともとトマトは水がなくても育つ作物である。
干魃には強いのである。永年樹、多年草はだいたいそうである。糖度を上げるには葉の働きを最大限に生かすということだけに集中すればいいのである。根に水を与えず、葉にも水を与えずだとしたら、植物は何を素に糖を作り出すのか。普通に考えれば、理解できそうなことでも間違いをしてしまうのである。基本が大切なことを思い出してほしいのである。難しいことへの理解は必要ないが、糖を作る基本の仕組みを知らなくてはどうにもならないのである。