土壌から発生する亜硝酸ガスに害虫は群がってくる

土壌から発生する亜硝酸ガスに害虫は群がってくる

 作物の大敵は憎い害虫である。これさえいなければと思っている生産者も多いはずである。そこまで憎い害虫のことをどれだけ知っているだろうか。ほとんどの方が知らないのではないだろうか。敵のことを知らなければやっつけようがないのである。害虫が発生する思いも寄らないメカニズムをお伝えしたいと思う。


 土壌からガスが発生することに注目したことはあるでしょうか。ガスは出るかもしれないな程度の事しかわかっていないでしょうね。どんなガスが出て、どんな結果が出るのかなんて、もう聞いた事もない話でしょう。生産にはまったく関係がないと思っている人も多い。関係ないどころか害虫にも原因不明の枯れにも大きく関係しているのである。土壌バランスの崩壊のすべての結果がガスになって出てくると言ってもよいのである。

 初めて聞く話かもしれません。まず土壌からどのようにしてガスが発生するのかを説明
しましょう。

?排水が悪い場合、土が腐ってガスになる。
?肥料が多すぎた場合、急に分解するとガスになる。
?未熟堆肥を入れると腐ってガスが発生する。

 ガスが出ると言っても人間に有害なほどの量ではない。しかし植物にとってはそのわずかな ガスの量が大問題になるのである。

 特に施設栽培では換気が充分ではないから大きな被害につながる場合も多々ある。ガスはどんな時に発生しやすいのでしょうか。くもりの日が続いて急に晴れ、温度が急上昇した時にガスが発生しやすいのである。

 土壌から発生するガスには2種類ある。
     ?アンモニアガス  ?亜硝酸ガス

 アンモニアガスは土の表面から亜硝酸ガスは土の中から発生する。いずれもチッソ成分が原因となっている。特に危険なのは?の亜硝酸ガスである。このガスは土壌のペーハーが5.4以下の酸性土壌で発生する。ガスが発生すると空気中に放出されるが当然、植物体にも附着する。亜硝酸ガスはチッソの酸化物である。これが害虫の大好物なのである。酸化した甘さが害虫にはたまらないのである。害虫さん、ご馳走があるから寄ってらっしゃいと旗をふっているような状態になる。アブラムシ、アザミウマ、ダニなどの吸汁害虫がわんさかと寄ってくるようになる。亜硝酸ガスが発生しなければ害虫はエサがないので寄ってこないのである。

 これでもまだ土壌のガスには無関心でしょうか。これだけではありません。くもりの日が続いて急に晴天になり温度が上昇する。朝ハウスに行って見たがいつもの通りだった。昼を食べてハウスへ行ったらびっくり。葉がしおれかけている。夕方には枯れてしまった。原因不明である。わけのわからないままに片づけをして定植のやり直しをする。ちょっと待ったである。その立枯れは土壌ガスにやられた場合が多いのである。ガスなんてハウスは行ったけど何も感じなかったよ。当然である。アンモニアガスなら5PPM、亜硝酸なら2PPMである。人間に感じられるわけがない。しかし植物には死ぬほどのダメージなのである。ガスが発生するのは急に温度が上昇した時である。ガスだから瞬間に植物はダメになる。原因不明ではなかったのである。

 ガス被害はまだある。ガスが発生している時に薬剤を散するとどうなるか。薬剤と酸化した亜硝酸ガスが結合する。薬害の発生である。ガスの発生はすべての元凶と言えるのである。特にハウスでは換気できないだけに被害が大きくなる場合が多い。

 被害を受けやすい作物はキューリ、メロンなどのうり科の植物である。キューリの活設
で葉が落下傘になって枯れるのはガスの発生が原因と考えて間違いない。

 どのように対策をすればいいだろうか。
?くもりが続き急に晴れて温度が上昇したら気を配って必ず換気をする。
?排水をしっかりして土が腐らないようにする。
?未熟堆肥は使わない。
?有機肥料を入れすぎない。
?玄米アミノ酸ぼかしを中心に施肥をする。

 土壌のガス発生対策をするということは害虫対策をするのと同じ意味になるのである。ガスが発生しなければ害虫は寄ってこないのである。害虫が出てから対処するのではなく、害虫が出る前に寄ってこ ないよう対策をするのが一番、お金のかからない方法なのである。

 チッソの施養量は世界的に制限されつつある。チッソ成分が大気に放出すると亜酸化チッソになって地球のオゾン層を破壊するのがわかったからである。環境破壊という意味では亜硝酸ガスも同じである。大量の有機肥料を入れるのではなく少量の醗酵微生物ぼかしを使うことが環境にもやさしく作物の成長にも貢献するのである。肥料の入れすぎにはくれぐれも要注意だね。

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