一年の計は「土・水・肥料」にあり!

一年の計は「土・水・肥料」にあり!

 年が明けた。イノシシ(亥)の年である。この年は土に関係が深い。まさに農業の年なのである。土の恩恵を最大限に受けるには準備が非常に大切である。今年が豊作になるようにするにはどういう準備をしたらよいのだろうか。大きなポイントは土と水と肥料である。


 実は毎年、同じ準備をすればそれで良いのか、という状態でなくなってきている。環境問題と異常気象である。春の準備にどういう影響があるのかを同時にお伝えをする。是非参考にしてもらいたい。

?土おこし
 春は土耕しをする。今までの春の気候を思い出してほしい。春は寒冷前線がゆるんで高気圧が張り出してくるのが例年だった。日一日と暖かくなり雨も少ない。土も冬場の適当な湿気を残している。土おこしにはこれ以上にない気候だったのである。ところが最近の数年はまったく事情が違う。寒冷前線の変わりに梅雨前線がきたかの如く雨が降る。しかも長雨である。その結果、土は多量の水分をいつも含んだ状態になる。この状態で土おこしをすると「粘土」を作る事になってしまう。まったく酸欠した土になる。最悪である。土おこしは必ず土が乾いている時にするのが基本である。「酸素を土に含ませるために土おこしをする」というのが目的だからである。

 この結果、一月から始める長期天気予報の情報は最重要ということになる。
 気候が変化して春には雨が多くなった。「ふ〜ん!それがどうしたの?」では農業のプロとは言えない。この事によって、すべてが変化してしまうのである。土おこしの酸欠問題だけではないのである。

?肥料
 春の根というのはとてもデリケートである。寒い時期を耐えて、春に新しい根を出す。細く小さい毛根から出始める。この時にたくさんの肥料をやったらどうなるか。そこに雨が多いという条件が重なったらどうなるか。

 わかりやすく言うと放蕩息子にお金をジャブ・ジャブ与えるようなものなのである。肥満の女性に甘いものをたくさん与える。こういう事になってしまう。少しも働かない、稼ぎの悪い植物という事になってしまうのである。

 水と肥料がいつも、あり余るほどなければ満足しない植物に誰がそうしたのだろうか。それは生産者自身である。植物の教育を間違えたのである。孝行息子にしたければ肥料も水も少なく、自分で自立して成長していく環境をつくる。春の肥料は控え目に!これは農業生産の鉄則と思ってほしい。

?水
 春の準備で一番、注意が必要なのは水である。先月号にも書いたけれど、原水がドンドン悪くなっている。これをうなぎの養殖に例えて話をするとよくわかる。高度成長期、作れば物が売れた。静岡では特産のお茶がとぶように売れた。お茶を生産するために大量のチッソ肥料を入れた。川が白く濁って流れるほど入れた。時が経って地下水からうなぎの養殖場にチッソが入り始めた。養殖場が水の汚染で全滅する所が次々に出てきた。

 この状態が畑作にも出始めている。笑い話ではないが、茶畑の近くで肥料をまったく使わず川の水だけで作物を育てたら見事に育ったという実話がある。それぐらい原水のバランスがくずれている。時に注意が必要なのは養液栽培である。養液はすべての栄養バランスを取って作られている。そこへリン過剰、チッソ過剰の水を入れたらどうなるか。とんでもないことが起こる。原水タンクはアッという間に青い藻の大繁殖である。原水のバランスが完全に狂っているという事である。ある生産者はこれを恐怖の館と名づけているそうだ。もちろん冗談である。手も足も出ないという意味なのだろう。

 原水問題は養液栽培をする人にとって非常に深刻であるが、露地も他人事ではないのである。いずれ時間の問題である。
 以上のように春の準備といっても昔ながらに同じ事をくり返しできる状態でない事は理解してもらえたと思う。

?対策
 重要なのは状況に適応した対策である。春雨に対しては排水。秋にコンバインが入って輪立ちが残り、そこに水がたまっているよう稲田は春の乾いた時期を見て早めに掘り起こしをする。暗渠排水が入っているほ場は目づまりしないようにサブソイラーで深度破砕でする。

 肥料はぼかしを中心にして微生物を増やし、有機質はできるだけ少なくする。栄養過多の状態にしない事である。

 原水の汚れを分析すると非常に高い物につくので安い物で検査できるP.H紙とかでとにかく水に関心をもつ。養液も肥料バランスがとれている物も必要だが、微生物養液を試作で作り、それを試用してみる。経費の削減で言えば、育苗土のもと土を購入し、玄米アミノ酸ぼかしを活用し、育苗土を自分で作ってみる。苗半作と言われるように準備ができているかどうか今年の結果を大きく決定する。悔いの残らない準備ができたら生産に打ち込めるだろう。

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