雨が多い!日照が少ない!と頭をかかえる前にやることがある

雨が多い!日照が少ない!と頭をかかえる前にやることがある

 「農業は自然が相手だから、むずかしいよ。」もっともらしく聞こえる。そして自然の変化にふりまわされて、いい結果が出ないと落ち込む。今年のように日照不足、多雨多湿の天候の時は悩みが深くなる。これはどうにもならないと思っている生産者も多いのではないだろうか。この時に大切な事がある。


 自然は無茶苦茶に変化しているわけではない。日照不足、多雨多湿になれば植物もその環境に適応しようとして変化するのである。その変化を先取りして植物の気持ちよい環境を作ってあげることができれば、被害は最小限にとどめることができる。

 例えば、梅雨。日照不足になると植物は体の表面をやわらかくする。少しでも光を取り入れようとするからである。そこへチッソ肥料をたくさん投入したらどうなるだろうか。植物体はチッソを吸って、さらに体をやわらかくする。

 糖度もあがる。病原菌は入りやすくなる。害虫は寄ってくる。コナジラミやダニなどの吸虫害虫が生活しやすい環境になる。それとは知らず、元気がないからとチッソ肥入れてしまう人も多いのである。

 農業は自然が相手と言っても漠然としてはいけないのである。自然には法則があって規則的な変化をする。その変化を学んで対策を立てれば多くの問題は解決する。それにはまず、どのような変化をするのかをよく知らなくてはいけない。変化は規則的なのだから一回だけでも対策をしっかり学習すれば二回学習する必要はないのである。しかし学習するまでは同じ失敗を何回も繰り返してしまうのである。時間ももったいないしエネルギーもムダである。

 梅雨の時期は特に病気が多くなる。植物が病気になる原因は3つである。

 ウィルス バクテリア カビ

 特にカビの仲間が病気の原因になることが多い。梅雨期だから雨が多く多湿になり、酸素が不足するからである。ウドンコ病・ナンプ病・ベト病などすべてカビが原因の病気である。バクテリアも湿度が高いと繁殖しやすい。ウィルスは空気中を浮遊しているので多湿の時は病気の原因にならない。

 さて、この小さな生き物はどのようにして仲間を作っていくのか。自分の力だけでは生きていく力がない。寄生をして栄養を取り込み繁殖していく。どのようにして寄生をしていくのか。植物にも外敵から身を守る為にいろいろな防御装置がある。硬い表面の皮を破る力はないので傷口から侵入していく。それから葉の裏側に気孔という穴があいていて、そこで植物は呼吸をしている。つまり口はいつも開いている状態なのである。そこから病気が入る。植物が成長する時は表皮をやわらかくする。栄養分もしっかりと貯える。新芽の出す時の状態である。この時に病気が入りやすくなる。

 病気が入る入口があって、そこからしか侵入しないことがわかっていただけたでしょうか。カビやコナジラミのような生き物は下等で弱い。だから子孫を残す為に短期間で大繁殖するのである。なんでもない事のようだけれども敵を知ることは自分を守ることになるのだから、とても大切なのである。

 この対策は実は簡単なのである。?チッソ肥料の投入はできるだけ控える。?微生物を多くふやす。?排水をしっかり行う。?密植しない。?光をあてるように工夫する。?通気をよくする。

 言われてみれば当然じゃないかと思うでしょう。しかし、常日頃の習慣ができていないとすぐに行動はできないのである。今年のような天候なら長期転機予報は出ているから、先の天候は読める。天候が悪いとしたら、例えばレタスを10アールに6000本植え付けをしてきたが、これを4000本に減らす。思いきった行動をする。しかし、普通はなんとか6000本育ってくれないだろうかと思ってしまうのである。その結果、病気に悩まされ、収量も低く品質も悪いという悪循環になる。

 害虫もふれておきたい。梅雨の時期は害虫被害は少ない。しかし要注意なのは梅雨の晴れ間である。害虫はこの時ばかりに活動を始める。特にハウス内は一気に温度が上昇する。湿度も上がる。害虫の天下である。もっとも活動がしやすくなる。こういう環境を作ってはいけないのである。温度管理・湿度管理は充分な気配りが必要なのである。いつでも注意をするというのでなくポイントがあるのである。対策としては風通しをよくして、湿度をためないことが害虫対策になる。害虫はウィルスを媒介するので非常にやっかいであり生産者を悩ませるクセ者である。

 最後に土壌病害であるが、これはいままでの説明を少しイメージしてもらえばよくわかる。土の中で状態がよくわからずどうして病気になるのか、どこから出てくるのか、どうして広がるのか、よくわかならいと思う。よくわからないから土壌病害はなくならないのである。

 自然には法則があることを思い出してほしい。病害が出やすいか、出にくいかは土の含む酸素の状態に大きく関係している。病気が出る時は何日も雨が降った時に定植したり、成長初期〜中期に必要以上の雨を含んだ時である。雨が降ることで土の中の酸素を失われるのである。タップリといい酸素があればすべての生き物は元気いっぱいなのである。酸素がなくなるとそれに適応した好ましくない生き物が出てくる。対策は第一に排水である。第二に排水である。

 人間のすばらしさは知恵を使って思い通りにコントロールできることである。自然相手といえども例外ではないのである。

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