知恵と工夫で肥料代は安くできる。

知恵と工夫で肥料代は安くできる。

 春になって一番、頭を悩ますのは肥料ではないだろうか。作物を収穫するには「肥料ありき」と誰もが思っているからである。満塁ホームランが打てるような肥料があったらな〜、という想いがあるでしょう。それで、肥料は入れるほど作物が取れるという間違った考えが定着してしまうのである。


 「肥料当たり」は春にしか起こらない。要注意なのである。肥料は入れるほどに危険は高まる。その理由は何度も書いたので、よく知っていると思うが、春は自然界全体が植物を育てるために肥料成分を作り出している。そこへさらに肥料では、糖尿病になっちゃうよー、なのである。

 今回は肥料についてだが、少し角度を変えて「肥料を有効利用する方法」について話をしたいと思う。私(関祐二)は、北海道のサロマ湖付近の農協に依頼されて土壌についての講演をした。100名ほどの出席者があった。ほとんどがこれからの農業を背負う青年層で、強い反応を期待して話をした。その結果は8割が無反応。また話を聞きたいという方が2割である。この100名の人達は都会で夢破れたUターン組である。農業の基本は知らないと言っていい。農協の指導の下、言われた通りに作物を作り、売っているだけである。

 いいとか悪いとか評論するつもりはまったく無い。心配になったのは「農業が楽しくなることは無いだろう」と思ったのである。都会の夢も破れ、農業をやっても楽しくない。生きている事がつまらなくないだろうか、と思ったのである。

 肥料の話に戻りましょう。サロマ湖の話をしたのは理由がある。農業を楽しくするのは工夫と知恵である。「そんな事はわかっているよ。」工夫と知恵の使い方なのである。みんな工夫と知恵を出しているのに、どうして上手にいく人と失敗する下手な人に別れるのか。それは基本を知って工夫と知恵を出すのか、または、我流と思い込み、聞きかじりの生知識でやってしまうのかの違いなのである。

 肥料について、よくわかる例を話しましょう。やせた土地に化学肥料を散布するとびっくりするほど効果が出ない。同じく、やせた土地に醗酵型有機肥料を入れると驚くほど良く効く。なぜだかわかるだろうか。家庭菜園の失敗はこの理由だけである。化学肥料は水に溶ける。やせた土地に化学肥料をまくと水に溶けて流れ出すだけで、根が吸収するに至らない。植物が育つわけがないのである。

 やせた土地に醗酵型有機肥料を入れるとなぜ驚くほど効くかというと、微生物が非常に繁殖しやすい環境にあるからである。先住者の闘う敵がいない分だけ早く繁殖できる。
 化学肥料には、水溶性だけでなく根の所に溶けるク溶性というのがある。コストは水溶性よりも高い。肥料を有効利用するには、この原則をいかに応用するかである。ここが工夫と知恵なのである。

 「醗酵有機肥料と化学肥料の併用」これが肥料有効活用のコツである。例えば火山灰土によく使われる可リン酸石灰。外国産のものであればコストは非常に安い。しかし、ただこれをまくだけでは知恵がない。アルミニウムとすぐに反応して効力を失ってしまう。そこで、醗酵型の有機肥料を入れてから、この上に可リン酸石灰を使う。しかも全面に使うのではなく、作付けをする畝にだけ局所的に使う。このようにするとコストも安く、肥料の効率的な利用が期待できる。ホームセンターなどで売られている安い化学肥料は成分的に何も問題が無い。有効利用するには醗酵型有機肥料と併用するのがコツなのである。
 有機肥料は以前に比較して大きく状況が変化している。施肥設計をやる時の注意であるが、最近の良質な醗酵有機肥料は効きが早く、効率が大変に良い。10 与えれば8〜9ぐらい成分利用される。さらに、肥効は早くて4日目ぐらいから出て、20日ぐらい維持できる。これをこれを昔の肥料と勘違いして大量に入れると肥料当たりを起こす。効力もすぐに出るし、また、終るのも早い。そこを始めから計算に入れる必要がある。もちろん追肥が必要である。

 最近は成分の低い醗酵肥料がたくさん出ている。食品工場から出る残飯、生ゴミから作られるものなどである。この肥料を有効に利用するには再醗酵させる事である。再醗酵させて熱を出させてからさらに醗酵させる。安いコストで良い有機肥料が作れる。玄米アミノ酸もアミノ酸ボカシも種菌として使えばさらに効率がよくなる。
 最後に家畜の糞利用である。最高の方法がある。利用していない土地を使い、そこへドッサリ家畜の糞を入れ、レンゲ、ミツバなどの緑肥をまく。これを刈り取りしてほ場にすきこみをするのである。緑肥は思っている以上に肥料効率が高い。酵素が生きているわけだから当然である。

 肥料の有効利用をお伝えしたが、有効利用の根底に玄米アミノ酸とアミノ酸ボカシを活用すれば効力は数倍になる事を忘れてほしくないのである。有機肥料は再醗酵させる事で効力が倍化し、そこへ化学肥料を加えるとさらにパワーが増す。まさに工夫と知恵なのである。これを自由自在に使えるように自分の物にして農業は始めて楽しくなる。

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