育苗の技術で病害を予防する方法

育苗の技術で病害を予防する方法

 育苗は子育てによく似ている。いのちを育むわけだから当然とも言える。どこがよく似ているかと言うと幼少期の体質が晩年までに大きく影響する所である。『三つ子の魂、百までも』の諺通りに幼少期の育て方が人間の一生を決めてしまうのである。人間の子育ては何回もやり直す事は不可能である。植物は年一作だから毎年、反復できるということになる。


 成功する方法を確立していれば、毎年確実に良品質が多収穫できる。毎年、試行錯誤を繰り返していると作柄はその年によって大きく異なるということになる。

 育苗をやらない生産者はいないわけだから細かい事は後に話をするとして、もっとも大切な事から話を始めてみようと思う。

 もっとも大切な事、それは病害の問題である。セン虫・ネコブに犯される時期はいつか知っているでしょうか。それは定植一週間前後である。この時期がもっとも危険なのである。苗を育苗して本畑に定植、それからわずか一週間で病害に耐えられるかどうかで決まるという事なのである。ここの対策さえしっかりできたら土壌消毒は必要ないのである。え!知らなかったでしょう。

 なぜ、こうなるのでしょうか。苗は小さくて、抵抗力もない弱い時には、手厚い保護を受け水分もたくさん与えてもらえる。弱くて栄養タップリの苗を本畑に移すと、ネコブやセン虫が腹をすかして待っている。そこへ定植である。待ってましたとばかりに病害が襲いかかる。細胞が強くないので攻撃しやすい。

 病害にやられるという仕組みになる。こうなるとおいしい野菜はできない。手間暇かけてお金にならず、病害処理にさらにお金がかかる。悪循環になる。

 これを解決するのは微生物である。まず本畑のほ場にぼかしを入れて土壌活性し、有効微生物をふやして病害菌を少なくする工夫をする。第二に育苗で強い苗を育てる。第三に定植する時、株元にぼかし又は粉分を少しづつ入れて抵抗性をつけておく。これだけでもセン虫・ネコブなど土壌病害はかなり防止できるはずである。

 病害対策の方法をお伝えしたが、その前に何の病気にも負けない元気な苗を作ることができれば、こういう心配もいらないわけである。そのためにどのような環境を作ればいいのだろうか。

?苗場
 風通しがよく日当たりの良い場所。南向きで山の方向をよく見て風の通りが計算できる場所である。建物が密集したような場所は苗場として最悪である。

?苗トレー
 使用する前にトレーはきれいに洗浄し、ウイルスが付着しないように気を配る。トレーで重要なのは置場所が水平かどうかということである。置場所が水平でないと水分がかたより均等に成長しなくなる。水平器はホームセンターで安く買うことができる。育苗の大切さを考えたら、道具料は高くないはずである。

?種の性質
 光を必要とする種と光を必要としない種に区別される。レタス・ゴボウ・みつ葉などは光がないと成育しない。ウリネギ・トマト・ナスは光があっては成育しない。この場合種子の厚さの3倍の土をかけるのが基本である。

?酸素
 酸素は水の中で育つもの、水の中では育たないもの、その中間に区別される。酸素がなくても育つものはレタス・人参・稲など。逆に酸素がないとダメなものは大根・ナス・小麦などである。と言っても水の中に酸素をどれだけ含むかというのが大きなポイントになる。そのために日当たりが大切になるのである。

?温度
 温度差に変化のある方がいいものは問題がないが温度差があると徒長して節間がのびるものは要注意である。昼間と夜の温度差をなくすためにエアコンの設備された場所で育苗する。育苗にエアコンと思われるかもしれませんがここで勝負が決まると思ったら環境整備は必要ではないだろうか

?徒長
 徒長の原因は大きく分けて三つある。
A、夜温が高くなる。 
B、水をかけすぎる。
C、互いの苗の葉が重なりあう。
苗の葉が重なると負けまいとして徒長する。そのためにスペースを広げて「ずらし」をする。植物の性質だから知っておきたいものである。

?水
 水は粗いものではなく細かいものがいい。普通のジョーロや頭上の粗いスプリンクラーは育苗に向かない。細かい霧状のものがいい。苗は弱いわけだから離乳食というのがあるように水分を吸収しやすいように気を配ることが大切である。

?培土
 培土は一番のポイントでむずかしいものであるが、玄米アミノ酸の使い方にも書いたので参照してほしい。また、園芸育苗培土はクレハ化学のものが一番良いと思われるので問合せ先を案内した。

 苗半作は昔から格言である。常に安心・安全が求められる中で育苗の技術を向上させることは一番の近道ではないだろうか。

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