「GAP」で農業の仕事が大きく変化する

「GAP」で農業の仕事が大きく変化する

 生産者はいままで自由にやりたいように仕事をやってきた。それが大きく変化しようとしている。「GAP」である。これは法律ではない。農業の仕事規範である。このようにして農業をやりなさいという指導である。どこが指導を始めたかと言うと農水省である。「そんな事を言われたって法律じゃないのだから従う必要なんてない、オラの仕事に余計なお世話だ!」それはその通りである。法律ではないのだから守る必要がない。


 ところがである、すでに日本GAP協会というのが出来ていて、講習会を始めている。その講習会はいつも満員、半年先まで予定がびっしり入っているというのである。そりゃーナンジャと言いたくなる。それだけならまだしも農協も独自のGAPを作り動き出すというのである。こうなるともう知らないではすまされなくなる。

 「GAP」とはそもそも何・・・? 生産物がどのようにしてつくられ、管理されているのかという農業指導書である。そんな事の為にどうして講習会に多くの人が集まるのか疑問ではないだろうか。生産者から見たらまったくわけがわからないでしょう。腰を抜かすでないよ。大手量販店は「GAP」が出来ていない生産者の生産物は買わない方針なのである。それじゃ市場はどうなるんだ。仲買はどうなる。右向け右である。逆らうことができない。大手の流通はすべて「GAP」ありきになる。自然になる。消費者もそれを目安に野菜を買うことになる。そんな馬鹿なである。

 大手量販店だけの話ではない。海外に輸出したいと思うなら外国にも「GAP」がある。ヨーロッパの「ユーロGAP」はその代表である。

 農業で成功したいと思ったら「GAP」認証がないとどうにもどうにもならないことになる。ほんとうにいままでの農業のやり方では通用しなくなった。時代が超高速で大きく変化していることを感じてほしいのである。

 「GAP」の内容は以下の通りである
?農業生産物の安全性
?環境への配慮
?生産者の安全と福祉
?農場経営と販売管理

 このような内容について細かく指導要項がある。項目毎の内容を少し見ることにしましょう。

?農業生産物の安全性
A 農業
B 肥料
C 土の安全性
D 水の安全性
E 種苗について
F 収穫作業
G 農産物の取扱い施設

 以上について細かい指導が規定されている。内容を見るとかなり立ち入ったものである。
「担当者を決めなさい。基準をつくりなさい。在庫表をつくりなさい。保管場所を設けなさい。農薬と生産物を一緒にしてはいけません。年に一回残留農薬の検査をしなさい。ほ場に生活排水が入らないように工夫しなさい。毒物・劇物取扱いの資格をとりなさい。保管庫には施錠しなさい。土壌消毒は化学薬剤ではない方法を検討しなさい。過剰施肥は必ずチェックしなさい。予冷庫に生活用品を入れてはいけません。さらにほ場で生産物を水洗いする時は水質検査をしなさい。」

 そこまで言うか・・・。怒りがドッとこみあげてくるのはよくわかる。チェック項目がいくつあるかわからないほどである。大政奉還、明治維新のような出来事なのである。

 「GAP」によって農家の仕事は大きく変化せざるを得なくなるのである。

 しかも大手量販店が大乗り気なのである。それには理由がある、この「GAP」でいま
まで見えなかった現場管理ができるのである。もし事故があった場合、生産者に責任の転嫁ができる。生産者の負担は格段に大きくなったということである。生産者は弱い。これがなければ買わないと言われればいやでも「GAP」はとらざるを得ない。

 変化するのは生産者だけではない。農薬メーカー、肥料屋、資材屋、機械屋まで大きく影響する。とにかく台帳さえ見ればどんな資材をどのように使い、管理がされているのか一目でわかるのである。情報公開の時代だから、いずれ生産方法はすべて公開することになると思われる。
「隣の家よりオラッチが上だ」というのは無意味になったのである。現場を見なくても台帳を見れば現場がわかる。それが「GAP」である。大手の仕入担当者にしてみればこれほど都合の良いことはない。

 憤慨ばかりしていられない。考えを変えればいままで真剣に農業をしてきた生産者にはとても有利なのである。「GAP」は間違った事は言っていない。他の業界では常識なのである。農業があまりにも遅れていただけなのである。この「GAP」を参考にして、消費者からも流通業者からも信用を得ることが簡単になったのである。しかもその基準も明確になったのである。仕事を見直してみるいいチャンスなのである。

 消費者が食の安全性にこれだけうるさくなった現在、もとの大雑把な農業に戻ることは100%ない。それなら前を向いて仕事改善に取り組みした方が早い。余談ではあるが「GAP」の内容は「楽して儲かる農業」のニュースレターの記事と一致する項目が多い事に注目してほしい。

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