病気が少なく作りやすい伝統野菜!種を栽培して農村レストランが大ヒット!
品質改良が進んで忘れ去られているものがある。伝統的に代々作られてきた野菜の種である。「そんなのは商品価値がまったくないよ。誰が買ってくれるって言うんだ!」そのように思われている方も多いと思う。
わずか60年前まではその土地でしか作られていない野菜がたくさんあった。これには深い意味がある。病気が少なく、作りやすく、食べておいしいから栽培されていたのである。現在のような品種のかけ合せではなく優秀な種だけを残して作り続けるという技法である。それが大量生産、大量消費で一変してしまったのである。
残り物には福がある。いまや貴重な存在になった伝統野菜に目をつけた女性がいる。奈良在住の三浦陽子さんである。ただ栽培をするだけでは収入にならない。そ
こで「農村レストラン」というのを始めた。栽培した手づくりの伝統野菜を調理して出すのである。これが大ヒットした。完全予約制であるが店は常連のお客様でいつもにぎわっている。
「でも作りながらレストランでは忙しすぎるでしょう」ところがである。ご主人にも介護の仕事をやめて手伝いをしてもらっている。それだけでは足りない。不足の分を近所の農家に手伝ってもらうことにしたのである。それなら手はいくらでもある。
「でも伝統野菜の種はどうやって集めたの……」これがまた凄いのである。自家用にと細々と作り続けている人から分けてもらったのである。
作っている人には伝統を守るなんていう気持ちはまったくないそうである。病気が少なく作りやすくおいしい。ただそれだけだというのである。貴重な伝統野菜の種を集めて、何種類の種になったと思うだろうか。驚きの数である。200種類もあるというのである。三浦さんはこれを宝物と言っている。まさに宝物である。
伝統野菜を通して郷土料理が復活する。料理の講習会で人が集まる。人の輪が広がる。珍しい料理を食べたいとまた人が集まる。ついには「清澄の村」というNPO法人を作ってしまった。「それは歴史が古い奈良だからできたんじゃないの…」そうかもしれない。でもあなた様の近くでも伝統野菜はまだ残っているはずである。
伝統野菜の栽培は家庭菜園をやっている方に特におすすめをしたいと思う。
少面積の少量生産にぴったりだからである。店では販売されていない野菜だから食べる楽しみも倍増する。体にもやさしい。プロの生産者も伝統野菜をもう一度見直しをしてみたらどうだろうか。大量生産ではなく少量生産の希少価値が見直される時代である。思わぬヒットに出会うかもしれないのである。
三浦さんのレストランの問い合せ先は次の通りである。
「清澄の里・粟」
TEL・FAX0742-50-1055
http://www.kiyosumi.jp/awa